この記事でわかること
避難生活中に生理になったときの、生理用品の受け取り、交換場所、処分、衛生、相談方法をまとめます。
2026年7月28日に熊本県で発生した地震を受け、女性や家族が直面しやすい問題を、公的機関の資料をもとに整理しました。まず身の安全と公的な最新情報を優先し、状況に合わせて活用してください。
いま生理用品がない・受け取りにくいとき
- 物資担当、女性担当者、保健師、救護班のいずれかへ伝える
- 「昼用・夜用」「必要な個数」「処分袋」まで具体的に伝える
- 人前で言いづらければ、紙やスマートフォンのメモを見せる
- 女性用トイレ・女性専用スペースに置かれていないか確認する
- 避難所以外で過ごしていても、自治体の物資配布場所を確認する
内閣府のガイドラインは、女性用品を女性担当者から配布すること、女性用トイレや女性専用スペースへ常備すること、在宅避難者や車中避難者にも物資を提供することを示しています。「避難所に寝泊まりしていないから受け取れない」と自己判断せず、自治体窓口へ確認してください。
生理用品は必要な物資
受付や物資担当へ種類と必要数を伝えます。男性担当者へ言いづらい場合は、女性担当者、保健師、女性用スペースでの配布がないか確認してください。
交換場所を先に確認
女性用トイレ、更衣室、授乳室など、鍵や目隠しがある場所を運営者へ確認します。暗い場所や人目のない場所へ一人で行かず、夜間はライトと防犯ブザーを携帯します。子どもにも場所と戻る時刻を伝えます。
交換と手指衛生
交換前後に手を清潔にします。水がない場合は手指衛生用品を使い、製品は清潔な袋で保管します。交換頻度は製品表示と体調に合わせ、長時間無理に使い続けません。発熱、強い痛み、異常な出血、体調悪化があれば医療者へ相談します。
捨て方
自治体や避難所の分別ルールを確認し、中身が見えない袋へ入れて指定場所へ出します。トイレには流しません。専用回収がない場合は運営者へ設置を依頼し、一般の居住スペースへ放置しないようにします。
周囲ができる支援
本人の希望を聞かずに種類を決めつけず、複数サイズや種類を用意します。人前で手渡さず、女性用スペースで自由に取れる方法が安心です。妊娠中、産後、更年期など必要な支援は一人ずつ異なります。
今日できるチェックリスト
- 自治体の避難情報と避難場所を確認した
- 水・携帯トイレ・薬・電源を確保した
- 家族や知人へ居場所を共有した
- 女性用品と衛生用品を一つのポーチへまとめた
- 相談先と緊急連絡先を紙にも控えた
平常時に決めておくこと
自宅、職場、車のどこにいるかで必要な行動は変わります。避難場所を二つ、家族との連絡方法を二つ決め、支援が必要な体調、服薬、アレルギー、生理・妊娠・育児などの情報を紙にも控えてください。用品は「全員に必要な物」「自分の体調に必要な物」「あると快適な物」の順にそろえると、重くなりすぎません。
災害時の困りごとは性別だけで一律には決まりません。年齢、障害、妊娠、育児、介護、持病、言語、生活環境によって必要な支援は異なります。本人の希望を確認し、プライバシーと安全を両立させることが大切です。
避難場所別に準備を変える
指定避難所へ行く場合
持ち物を増やしすぎると移動が難しくなります。水、薬、連絡手段、ライト、携帯トイレ、防寒・暑さ対策を優先し、女性用品は中身の見えないポーチへまとめます。受付後は、トイレ、給水、充電、物資配布、救護、相談窓口、女性用スペースの位置を確認します。通路や出口を荷物でふさがず、貴重品は身につけます。
在宅避難をする場合
建物にとどまれるかを自己判断だけで決めず、自治体の情報と住宅の損傷を確認します。食器棚、鏡、化粧品のガラス瓶、美容家電などが落下した部屋は、靴と手袋なしで入りません。断水中はトイレへ水を流してよいか自治体の案内を確認します。避難所へ行かない場合も、給水や物資配布、健康相談を利用できることがあるため、地域の窓口を確認してください。
車中で待機する場合
車はプライバシーを保ちやすい一方、暑さ、寒さ、血栓、孤立、防犯、一酸化炭素中毒の問題があります。指定された場所を使い、現在地を家族や避難所へ伝えます。長時間同じ姿勢を避け、水分を取り、無理のない範囲で体を動かします。体調が悪い、妊娠中、乳幼児や高齢者がいる場合は、車中泊を続ける前に保健師や医療者へ相談します。
女性用品を受け取りやすくする工夫
必要な物は、人前で詳しく説明しなくても伝えられるよう、スマートフォンのメモや紙へ書いて見せる方法があります。「生理用品・普通の日用」「下着Mサイズ」「黒い処分袋」など、種類やサイズまで書くと行き違いを減らせます。支援する側は女性担当者を配置し、女性用トイレや女性用スペースに用品を置き、本人が選べる形にすると受け取りやすくなります。
用品が足りないときも、長時間の無理な使用や衛生的でない代用品で体調を崩さないことが大切です。避難所の運営者、自治体職員、保健師、医療チームに不足を伝えてください。声を上げにくい人がいることを前提に、周囲から「必要な物はありますか」と個別に確認する配慮も役立ちます。
体調の変化を記録する
睡眠不足、食事の変化、暑さや寒さ、強い不安により、頭痛、めまい、肌荒れ、月経周期の変化などが起こることがあります。発症時刻、症状、水分・食事、服薬、月経の状況を短く記録しておくと相談時に伝えやすくなります。薬は他人と分け合わず、用法・用量を守ります。
突然の息苦しさや胸痛、意識の変化、強い出血、片側の脚の腫れや痛み、重いアレルギー症状などは、セルフケアだけで済ませず緊急の医療相談が必要です。通信が混雑している場合も、周囲の運営者や救護班へすぐ知らせてください。
家族・同行者と共有したいルール
- 離れた場合の集合場所と連絡先を決める
- 誰が薬、子どもの用品、女性用品、充電器を持つか決める
- トイレや給水へ行くときは行き先と戻る時刻を伝える
- 写真撮影やSNS投稿で避難者の顔、氏名、車のナンバー、居場所を公開しない
- 困っている人の事情を周囲へ勝手に話さない
- 支援が必要な症状があれば我慢せず運営者へ伝える
情報を確認するときの注意
SNSは現地情報を得る助けになりますが、過去の画像、別地域の情報、確認されていない通行止めや物資情報が混ざることがあります。投稿日時だけでなく、情報の発生日時、場所、発信者を確認し、熊本県、市町村、気象庁、警察、消防、道路管理者などの一次情報と照合します。善意でも未確認情報を拡散すると、避難や支援を妨げる場合があります。
よくある質問
生理用品がないとき誰に言いますか?
物資担当、女性担当者、保健師、自治体職員へ伝えます。紙やスマートフォンの画面で見せても構いません。
使用済み用品はトイレへ流せますか?
流せません。中身の見えない袋へ入れ、避難所や自治体の回収ルールに従います。
紙やスマートフォンで見せる「依頼メモ」の例
生理用品が必要です。
・昼用:5枚
・夜用:2枚
・中身の見えない処分袋
女性の担当者から受け取りたいです。
商品名まで分からなくても、昼用・夜用、羽の有無、必要数を伝えれば行き違いを減らせます。下着、鎮痛薬、清浄用品なども必要なら一緒に相談します。薬は体質や服用中の薬との関係があるため、他人から分けてもらったものを自己判断で飲まず、薬剤師や医療者へ確認してください。
防災ポーチに入れる女性用品
| 品目 | 準備のポイント |
|---|---|
| 普段使う生理用品 | 最低限の持ち出し分と自宅備蓄を分け、定期的に入れ替える |
| 中身の見えない袋 | 使用済み用品の一時保管・指定場所までの持ち運び用 |
| 予備の下着 | 防水袋へ入れる。使い捨て下着も選択肢 |
| ウェットシート等 | 肌に使える製品か表示を確認する |
| 携帯トイレ・ライト | 断水や夜間の移動に備える |
| 常用薬・お薬情報 | 薬の名称、用法、アレルギーを紙にも控える |
政府広報は、生理用品、清浄綿、携帯トイレ、携帯用ビデなどを女性の災害用品例として紹介しています。ただし、持ち出し袋が重すぎると避難を妨げます。普段使う種類を中心にし、自宅・職場・車へ分散して備えると持ち運びやすくなります。
初めての生理・周期が不規則な人への備え
小中学生など初めての生理を迎える可能性がある人には、本人が周囲へ言い出すまで待つのではなく、保護者や女性担当者が個別に必要を確認します。説明は人前で行わず、用品の使い方、交換場所、捨てる場所を一緒に伝えることが大切です。
更年期、産後、治療中などで出血の時期や量が不規則な人にも、生理用品や下着、休める場所が必要になることがあります。「若い女性だけの問題」と決めつけず、本人の希望を確認してください。普段と明らかに異なる大量の出血、強い痛み、めまいなどがある場合は、避難所の救護班や医療者へ早めに相談します。
支援する側が確認したい5項目
- 女性用品を女性用トイレや専用スペースで自由に取れるか
- 昼用・夜用など複数種類と処分袋があるか
- 交換場所に鍵、照明、目隠し、安全な動線があるか
- 使用済み用品の回収方法が表示されているか
- 避難所外で暮らす人へ配布情報が届いているか
政府広報でも、女性用品は女性担当者から配布することや、女性専用スペース・女性用トイレへの常備が示されています。単に段ボール箱を受付へ置くだけでなく、「誰が、どこで、どのように受け取るか」まで運営ルールに含めることが重要です。
公的情報・相談先
被害状況、避難所、断水、道路情報は変化します。熊本県・市町村、気象庁、道路管理者などの最新情報を必ず確認してください。命に関わる症状や差し迫った危険は、記事ではなく119番・110番などへ連絡してください。
公的調査で分かった、熊本地震の避難所での困りごと
熊本県が実施した県民アンケートでは、2016年熊本地震の際に避難所へ避難した回答者166人(女性105人、男性61人)に、問題だったことを複数回答で尋ねています。
| 問題だったこと | 全体 |
|---|---|
| 間仕切り・授乳室・着替え室など、プライバシーを守る配慮がなかった | 61.4% |
| 育児・介護用品や女性用品が不足していた | 33.1% |
| トイレ・入浴場所で男女別の配慮がない、暗がり・死角に設置されていた | 30.7% |
| 生理ナプキンやおりものシートがトイレ等になく、受け取りにくかった | 24.7% |
つまり、生理用品は「届いているか」だけでなく、必要な人が人目を気にせず受け取れる場所にあるかまで重要です。女性用品の配布、着替え、トイレ、相談先を別々の問題にせず、プライバシーを含めて準備する必要があります。
出典:熊本県「男女共同参画に関する県民意識調査報告書」問20。避難所へ避難した人のみを対象とする複数回答で、全県民の割合を示すものではありません。男性回答は人数が少なく、原資料でも参考値とされています。数値確認日:2026年8月7日。
生理用品は「自治体にある」だけでは足りない
内閣府が全国の自治体を対象に行った避難所運営の実態調査では、男女共同参画や要配慮者支援の視点で備蓄している物資を回答した520自治体のうち、生理用品を挙げたのは267自治体でした。単純計算では約51%です。一方、熊本県の避難経験者調査では、24.7%が「生理ナプキンやおりものシートがトイレ等になく、受け取りにくかった」と回答しています。
この2調査は対象と時期が異なるため、数値を直接比較することはできません。ただし、備蓄の有無と、避難者が実際に受け取れる状態は別問題だと分かります。避難所では、女性用トイレなど取りやすい場所への設置、サイズや種類への配慮、中身の見えない処分袋、継続的な補充が必要です。
出典:内閣府「避難所の運営等に関する実態調査」、熊本県「男女共同参画に関する県民意識調査報告書」。数値確認日:2026年8月7日。
記事作成日:2026年8月6日
記事更新日:2026年8月7日





